時の指針書とプッチ神父
パパの名前は"ブチャラティ”です。知っている方なら一発でジョジョ好きと伝わります。
そんなパパは時の指針書とプッチ神父を重ねてしまいます。
彼女は王都で一際目を引くマァナちゃん。彼女も腰に指針書を携えています。
プッチ神父は“天国”を作ろうとしていました。精神的な意味での天国です。
その天国では、人類皆すでに未来を経験していて、その未来は決して変えられません。その未来がどんなものであろうと、覚悟して日々過ごせば精神的に日々穏やかに過ごせるというものです。
ジョジョの作者である荒木先生にとっても、そしてパパからしても、これは独善的であり、なおかつ自分があたかも神として天国を作ると錯誤している“無自覚な邪悪”です。(プッチ神父のバックボーンは省略します。)
そして、この思想は時の指針書に通ずるところがあります。
時の指針書には推測ですが、“今なすべきこと”、“それをなした未来”と“その未来ですべきこと”、“それをなして訪れる未来”が記されています。そして、一定の期間ごとに書き換わります。
プッチ神父の掲げた未来とはちがい、能動的に変えられる要素が見受けられますが、大多数の盲目的に指針書を信じている人々は書いてある通りに過ごしているようです。それが幸福だと大半の王都人が考えているのでしょう。
能動的に幸福のために日々過ごしている……否、受動的です。指針書が定めた運命を能動的に受け入れるということに、プッチ神父が目指した天国よりも恐ろしいものがあると感じました。
能動的に、あたかも自らの意志で行動しているとみせかけて、その実は行動させられている。指針書よって定められたものであるにも関わらず、自分で選び掴んだ未来や結果だと錯覚してしまう。
人が指針書どおりに動く人形に成り下がり、本当の自分がいなくなる。恐ろしい。それが幸福なことだと自ら受け入れる仕組みを創り出した人物はよほど世界が恐ろしかったのでしょう。
そして面白いのは、わりと地位が高く優秀な人物ほどに時の指針書に縛れていないことです。父親に否定的なクオードはもちろんですが、サブクエストで絡みがあるセオドルト副団長や王立アルケミアの前所長ワグミカはそれぞれで差違はありますが、指針書に疑問を抱いています。
錬金術師リンカが指針書を拒絶したのはあくまで自身のためであって、彼らが抱く指針書への不信はもっと大局をみてのものです。リンカのエピソードは不完全ながらも人間を錬金できるという部分が肝でしょう。これはこれでなかなか恐ろしい。
ちょっとネタバレ入ってきましたね。ここらで書くのを終わります。
これからのお話が楽しみです。期待しています。安西Dがんばってー。